第87回 やり過ぎでは?!GOの乗務員情報取得の戦略~GOについて色々気付く機会となりました~

業界・仕事説明

前回最後に示した1月末のGOの驚愕な事実を順に説明しますと、第77回 「乗務員に対する配車アプリ会社の施策」でGOが乗務員ポイント制度というのを作って、しかも12月からよく訳も分からず100ポイント(100円)を乗車のあるタイミングで貰っているという話をしていました。

実際に私は5,100ポイント溜まってるのですが、GOが直接乗務員の銀行口座に振り込むから1月末から手続きをしてという掲示が会社で案内され、DiDiやUberのキャンセル手数料などは会社を通して還元されのに不思議なことをするないうのが最初の感想でした。

ところがその手続きを実際に行おうとすると、個人の携帯番号とE-mailアドレスの登録まで義務付けられていました。

もちろん私もお金に目がくらんで(笑)個人情報をGOに提供しましたが、実際に登録するときには架空の情報が登録されないように、暗証番号がその登録したアドレスに返信され、その都度確認の入力が必要で、必ず間違いのない情報を取得するという念の入れようでした。

なお、GO乗務員ポイント規約は10月の初めの登録開始時に同意を求められ、当然その時はよく目を通さずに同意はしたのですが、今確認したところ以下の通りでした。

第9条 (個人情報)
1.GOが本サービスの提供に伴って取得した乗務員様の個人情報(個人情報の保護に関する法律に定める個人情報をいう。以下同じ。)については、GOが別途定めるGO乗務員ポイントプライバシーポリシーに従って取扱うものとし、乗務員様は、これに同意するものとする。
2.乗務員様は、自己が所属する事業者様に対して、本サービス利用開始およびGO乗務員ポイントを現金等へ換金等するために必要な限度で、自己の個人情報のうちGOが指定する情報を、事業者様からGOへ提供する権限を与えるものとする。

改めて2.まで読むと乗務員に対して直接銀行振込をするにしても、その情報は事業者から提供される前提に受取れ、今回のように銀行振込を出しにして、乗務員から個人情報などを取得することは想定していないように受け取れます。

また、別途個人情報を取ったとしても、その利用に対してはかなり厳格に制限するのが一般的と思うのですが、乗務員プライバシーポリーを確認したところ規約と同じ2023年10月4日付であり、こちらは通常検索でも出てくるのでリンクをつけますが該当部分は以下の通りで、

(8) 本サービスその他のGOが運営するサービス等および第三者が運営するサービス等に関する広告、宣伝、マーケティング(ダイレクトメールの送付、電子メールの送信を含む)のため

となんと堂々と、第三者への提供もしばりなく目的も宣伝広告のために登録情報を利用できるとしています。

これでは、GOはここで得たタクシーの乗務員名簿を自由に第三者に売って利益を得ることもできますので、このような包括的な同意で自由に営業目的で第三者に提供できるというのは個人情報保護法に反するような気がしますが、ここではこれ以上の論評は避けたいと思います。

また、タクシー会社の視点で見ると自分の頭越しに、GOが直接乗務員にコンタクトできるような仕組みを作るのは看過しがたいことのように思いますが、気が付ついていないのか、力関係で諦めているのかよくわかりませんが、一般の会社同士でこのように相手の懐に直接手を突っ込むような取り決めはあり得ないと思います。

また、GOは今回入手した個人情報だけではなく、所属のタクシー会社から提供される個人情報、GOのアプリの活用状況やお客から得た乗務員の評価情報などを紐づけすれば、恐ろしく利用価値の高いタクシー乗務員の膨大な情報を手に入ることになると思います。

ところで、前回ブログの最後にこの事実も合わせてGOの方向性に気付いたと書きましたが、その目指している方向性とは人材派遣(募集)の分野になります。

つまり乗務員の募集を考えた時に、タクシーの仕事をやめた乗務員や今働いている乗務員に転職を直接誘うのが一番の手っ取り早い方法と思いますが、GOが直接自由にコンタクトが取れる状況を構築したことにより一段とやりやすくなることは明白だからです。

さてこの方向性に行きついたのは、1月12日のGOのライドシェアの支援の一つに採用支援を挙げていたことが最初のきっかけでした。

また、1月9日のリリース記事の中で「働くうちに、仕事に魅力を感じて稼働日数を増やす方や、正社員や運行管理者の資格取得をめざす方もいらっしゃるなど、タクシー業界を担う人材の裾野を広げる一助となっています。」という記事やどう考えても「GO Crew」はタクシーの運用では採算が取れないビジネスモデルということも決めてになっていました。

ところが、今回記事を書くにあたりGOは何か人材派遣的なことをしているのかと改めて調べたところ、ドライバーの仕事探しなら『GOジョブ』| GOジョブ (goinc.jp)を見つけて、全ての私の疑問が解けました。

この中でしっかりTOP画面にライドシェアドライバー大募集の掲示があり、雇用形態の中でタクシードライバーの他にアプリドライバーの区分を設け分けて募集していました。

ちなみにライドシェアの募集画面では、「車は自家用車でOK、貸し出しでもOK※予定」とあり、日本自動車交通株式会社の募集しっかり足並み揃えていました

しかもアプリドライバーの募集の実際の掲示を見ると、年収300万~900万円の間の正社員募集が圧倒的に多く勤務形態もいくつか確認したところしっかり隔日勤務で、これだけ働くのであれば、GOアプリの受注だけでなく、手上げ(付待ち)や無線配車なども併用しなければ効率よく稼げません。

したがいまして、入り口戦略(タクシー乗務員のイメージをUPして募集の敷居を下げることや、仕事を始めてから早い時期に乗務方法を変更するなど。)と思いますが、「GO Crew」はタクシー乗務員の人材募集を主目的のために活用していることは明らかです。

また、1月9日のリリース記事のタイトルをよくよく確認すると「乗務員不足解消をめざすアプリドライバーの取り組みが好調!」とあり、前回の驚きは私が勝手に需給調整の目的を過大に評価していたための勘違いということがはっきりしました。

なおGOジョブのTOP画面の少し下のところをスクショしたものは以下の通りで、これまで説明してきたとこもご覧いただけますが、特に注目していただきたいのが、「幅広いドライバーの職種から自分にあった求人を選べます」の2段目に「配送ドライバー」「バスドライバー」などの関連職種の募集もしているところです。

つまりタクシー関連の募集だけでなく幅広くドライバー職種に展開しているのがわかると思いますが、GOのHPをよくよく調べると(一番下段にあり)これ以外の関連分野にも事業拡大をしていることがわかります。また、会社概要を見ると資本金1億円の会社ですが、記載されているものだけでこの6年間で450億円もの資金調達をされていますので、急拡大しているのもわかります。

更に、GOのHPを色々見ているとデータアナリストの採用ページの仕事内容で

「弊社のサービスではタクシー事業者様、エンドユーザー様双方から大量のデータを収集し分析することができます。日本の法人・個人タクシーの総台数約22万台のうち半数の約10万台がGO Inc.の提携車両となっており、これだけ多くの動体データを扱える会社は日本になかなかありません。」

とGOの端末をタクシー車両に搭載させることにより、しっかりデータも吸い上げられて活用されていることが明らかですが、合わせて現在のマーケットシェアもしっかり記載されていました。

ということで想定以上の長文になってしまいましたが、今までのブログの中で、GOはDiDiやUberと比べて、乗客からのキャンセル料を独り占める姿勢を批判したり、乗務員向けのアプリの開発をほとんどしないことから一番不親切な配車アプリと説明していました。また、利用者目線で見ても、例えばGOだけ乗車位置の修正が配車依頼後できないままですし、乗車地が何かの事情でずれるというトラブルは今でも結構な割合で起こっていますがずっと改善されていません。

このようなことから、GOには一つ一つの改善を積み重ね「三方よし」の良いものを作るというよりは、自分が儲けることだけを最優先で考える会社という姿勢を感じていましたが、個人情報取得の件や、今回私が新たに知った事実も決してずれるものではありませんでした。


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飯田さん

前職をやめて、結果としてタクシー乗務員として仕事を始め、1年程立って昼勤営業収入(税抜き)ミリオン、を達成したのを機に、このブログを始めました。
なお、「飯田さん」の名称の意味、詳しい情報、前職をやめた経緯などについては、「飯田さんの司法試験・予備試験の部屋」のサイトで掲載されています。

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