第79回 第1回大阪府・大阪市ライドシェア有識者会議より大阪の意図を考えてみると

業界・仕事説明

前回最後に触れた2023年11月16日(木)の会議ですが、まず事務局から万博に伴いタクシーの需要の増加の見込みについて大阪府下全体で20%という数字が以下の通り示されました。

この2割の数字については、前回2割ほど値上げしても平均時間単価は昨年と変わらなかったことをお伝えしましたが、現状でも万博が開催されてようやく昨年と同じ需給バランスになるのでは?というのが率直な感想となります。

この乗務員が足りなくなるという主張に対して、出席した大阪タクシー協会の副会長は、前回示した通りの今年10月末での647人の乗務員の増加の、実車率がバブルの頃に比べて53.9→47.5となっており、数字で供給過多になっている状況を説明されました。また、今年の7月頃までは繁華街でタクシーの供給不足が見られたが、今ははっきり余っていると説明され、私の平均時間単価の推移も全くその通りでした。

そして、以下が万博に向けたライドシェアの説明ですが、

ここでのポイントは、二つ目の〇のタクシーの規制緩和による輸送力の増強には時間がかかるから、ライドシェアの先行導入が必要という論理です。

ここで、【タクシーの規制改革による輸送力増強】の中身ですが、一つ目の〇の勤務形態柔軟化等について、すでにF型賃金体系として完全に柔軟な勤務体系で募集している大阪のタクシー会社がありますので規制の問題は関係ありません。そして、二つ目の〇の第2種免許の取得支援についても、大阪のタクシー会社が全額負担しても採算上全く問題ないことも理解していませんし、他の二つの理由は輸送力の増強とは直接関係ないことです。

それよりも規制を緩和して手っ取り早く輸送力(効率)を上げる手段として、第65回 まずは大阪府域内の営業圏の撤廃と第66回 区域外営業を認めるべきで「都道府県を跨ぐ営業を認めるべき」と私は主張していましたが、当日の会議でも全大阪個人タクシー協会の代表の方が全く同じ意見を述べられていました。

なお、この会議で大阪タクシー協会の副会長の発言の中で、新大阪駅の大行列の問題についての説明があり、これも第40回第70回で私が説明した内容と全く同じ説明をされ、大阪タクシーセンターに対して案内人の設置をお願いしているところと説明がありました。

実際のところ、12月後半になって案内人を見かけるようになったのですが、本来ならこのような喫緊の重大な問題に対して、たとえライドシェアの会議でも、国政政党を抱える維新が積極的に解消を国に働きかける姿勢を見せるべきと思うのですが、現状の問題に対しては他人事のような感じを受けました。

また、以下が大阪が考えるライドシェアの将来像ですが、

まず、一つ目の〇の前提条件である70歳以上の高齢ドライバーが増加しているという状況は若い人が明らかに増えている今の状況とは全くあっていません。

また、結論として三つ目の〇のライドシェアが必要不可欠といきなり結論ありきとなっていますが、そもそもその理由である自家用自動車という地域資源の活用については、大阪市在住で高い駐車料金を払って自家用車を持てるどんな人をライドシェアのドライバーとして想定しているの?という単純な疑問から、2つ目の〇の説明も抽象的すぎて、全く説得力に欠けます。

なお、大阪タクシー協会の副会長は万博の需要増に対して、ライドシェアで車両を増やして対応するのは却って交通渋滞を招き輸送効率が下がり逆効果であるとの発言がありました。

これに対しては、タクシーの稼働車両を増やしても同じことだとは思いますが、そもそもの発想としてタクシーやライドシェアのような車での移動手段を将来的に推し進めるのが、大阪の考え方なのか大きな疑問に思います。

というのは私が乗務を始めてから、難波駅の東側の車道や駅前のタクシー待機場がなくなり歩行者天国とされ、また新橋~道頓掘間の御堂筋の両側の側道がなくなり、ただでさえ渋滞がおきやすくなっているところ、将来的にはこの御堂筋を歩行者天国化する構想を聞いています。

そうであれば、更に渋滞に拍車がかかり、車という移動手段を増やす方向ではなく、ライドシェアを検討する実益は将来的にも大阪には全くないと思うのですが、まさしく結論ありきの話になっています。

今回は以上とさせていただきますが、実際のところこの会議についてもう少し説明したいところもあったのですが、その部分については、前回のブログの公開後の12月20日に「ライドシェア」24年4月に限定解禁の記事の通り、当面の結論が出ましたので次回にこの結論と一緒に私の見解について説明したいと思います。


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飯田さん

前職をやめて、結果としてタクシー乗務員として仕事を始め、1年程立って昼勤営業収入(税抜き)ミリオン、を達成したのを機に、このブログを始めました。
なお、「飯田さん」の名称の意味、詳しい情報、前職をやめた経緯などについては、「飯田さんの司法試験・予備試験の部屋」のサイトで掲載されています。

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