12月20日に「ライドシェア」24年4月に限定解禁の記事の政府として方針について、ライドシェアと過疎地の特例と区分けされていますが、過疎地の特例については現状の問題を踏まえた現実的な制度改正で全く疑問はありません。
ところが、ライドシェアについては以下の通りで
「一般ドライバーが有償で顧客を送迎する「ライドシェア」が2024年4月に条件付きで利用できるようになる。タクシー会社が運行管理し、車両不足が深刻な地域や時間帯に絞って限定解禁する。政府はアプリ事業者らの新規参入を含む全面解禁の議論を続け、同年6月までに結論を出す。」
まず、24年4月も急な話ですが、記事の中の「法改正は24年6月までに結論」のタイトルの後の説明が以下の通りありますが、
「政府は法改正が不要な範囲でまずライドシェアの運行実績をつくり、効果を検証する。」
4月に解禁してどうやって6月までに効果を検証して結論を出すの?という誰でもわかる絶対無理なスケジュールが平然と説明されています。
また、ライドシェアの対象となる地域について以下の通りの説明ですが、
「新たなサービスはタクシー配車アプリの対応車両が70%を超える都市部や観光地が対象となる見込みだ。」
「配車アプリのマッチング率などのデータを基に都市部や観光地などでタクシーが不足する地域や時間帯を割り出す。あらかじめ定める基準を超えた場合に運行を認める方向だ。」
まずそもそものところ「タクシー配車アプリの対応車両」という定義が?で、DiDiやGOの場合は専用端末でメーターとの連動設定が必要ですが、Uberの場合は自前のスマホでできますので対応車両という概念がありません。
しかも「70%を超える」と条件とされているので、アプリの利用が進んでいない地域は永遠にライドシェアが進められないということになりますが、アプリの導入の決定権を持つ現行のタクシー会社が、ライドシェア導入の決定権を握っていることにもなります。
また、「あらかじめ定める基準を超えた場合」にライドシェア導入については、タクシー会社に努力義務や機会を与えて、できなければライドシェア導入は仕方がないですよねという論理で至極もっともに思います。
ちなみに、大阪の会議でも大阪タクシー協会の副会長が、受注しにくい日時の情報をアプリ会社から提供を受け、乗務員の出勤のシフト調整をしてタクシーの提供不足の解消に努めている説明をしていましたので、現実的な話と思います。
ところが、今回明らかにおかしいのは2024年4月が解禁というところで、どう考えても絶対に無理なスケジュールです。
正直なところこの日経の記事がすべて正しいのか私は調べていませんが、この記事を書いている人は、考えればわかるこのスケジュールの疑問について何故さらに掘り下げないのか?前々から指摘していますがマスコミとしての機能の劣化の象徴と思います。
ということで、マスコミが掘り下げてくれないので私が推測しますが、結論としては「万博に向けてライドシェアを後押しすると見せかけつつ、大阪ライドシェア潰し。」というのが私の見解です。
順に説明すると元々の政府案は2025年4月に限定解禁で、2026年6月までに全面解禁の検討で議論が進められていたのを、大阪版ライドシェアの導入検討に危機感を持ち、スケジュールを変更したというのが私の推測です。
まず、元々のスケジュールであれば記事の説明も納得いくものになりますが、恐らく政府は新しいスケジュールの結論だけ公表して、実際の導入基準やライドシェアの運航実績の検証については直接明言せず、日経の記者が会議の資料から推測したものと考えれば腑に落ちます。
また、元々のスケジュールであれば、政府のライドシェアの議論は万博に間に合わないことが明らかなので大阪版ライドシェアの議論を進める実益があり、また、ライドシェアの検証として万博開催期間に大阪で実施するという大義名分が生まれます。
一方、2024年6月にまでにライドシェアの全面解禁まで検討すると言えば、万博開催までの実現を後押ししているように見えます。しかし、そもそも導入基準は役所で作れますし、2024年4月に間に合わせようとすると過去の数値から判断するしかなく、変動要素がなくなり却って好都合とも言え、何といっても導入につては政府の裁量で決めることができできます。
また、限定解禁のライドシェアが2か月という検証期間の問題については、そこは1年通して検討しないとわからないとか、適当に継続期間を延長してお茶を濁すように思います。
そして、大阪版ライドシェアの検討を大阪主導でさせにくくするため、例えば大阪府の中の金剛バスが事業を撤退した大阪府の中でも過疎的な地域だけで、ライドシェアを限定解禁することも考えられると思います。
なお政府のライドシェア案については都市部と観光地で実施を検討していますが、観光地で考えた場合は地域や時間帯を限定されても、タクシー会社がタクシーの不足する時間帯に、地域住民の自宅から直接仕事に行けるメリットを活かし地域住民の隙間時間を活用できれば、タクシー会社にとっても悪い話ではなく現実的な話になっています。
したがいまして、この点から考えても都市部では限定解禁のメリットはほとんどなく、都市部は後付けで追加されたように感じます。
ということで今回は以上とさせていただきますが、実際のところ私自身も政府案を読んだときに、直ぐにはこのような想像までは出来ませんでした。
予定と異なり今回は、政府案についてここまでの説明しかできず、大阪の会議での発言の内容や政府案との違いについての説明も未消化のままで終わってしまいましたが、残したところは来年改めてと思っていますので、引き続きご愛読いただければ幸いです。
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