第34回 「今も大本営発表は鵜呑みにしてはいけない」のですが

お願い・提言

さて「すいている時間に安く・高くても混雑時に…タクシーに変動運賃制、上下5割の範囲で」について、考えて行く上でまず、この目的は何なのかから検討していきたいと思います。そして、あくまでリンク先の記事を前提に考えていきたいと思いますが以下の通りです。

「事業者は現行運賃と比べ、上下5割の範囲内で料金を設定できるようになり、潜在需要の開拓につながると期待される。」

「タクシー利用はコロナ禍以降、落ち込んでおり、新たな利用者層が生まれることに期待がかかる。」

これでは、タクシー事業者のためにと言っているようなものですが、

「料金を変動させることで「すいている時間に安く乗りたい」「高くても混んでいる時間帯に早くタクシーをつかまえたい」といった多様な要望に応えることが可能となる。」

ということで一応利用者の利便性を図るという名分も付け加わっていますが、そもそも一般国民利便性が上がるからと言ってタクシーの需要を増やすことを推進することは実は大問題だと思います。

というのは、タクシーは公共交通機関といえ、電車やバスに比べて輸送効率が悪く、CO2削減の観点から、また、マイカーと同様で渋滞の原因にもなるので、本当に必要な方のみが利用いただくものであることが原則となるはずです。

それを、安くするということで他の公共交通機関に代えて(一部はマイカーからもあるかもしれませんが)利用を促進するというのは、電車やバス等の公共交通機関が発達している日本では絶対にあってはならない目的だと思います。

もちろん、今回の一番の目的は、タクシーの混雑時の値上げだとは思いますが、それを隠すためとはいえ、国土交通省はあくまで日本の実情からの原則を踏まえて、このような絶対にあってはならない目的は公言してはいけないことと思います。

次に、「高くても混んでいる時間帯に早くタクシーをつかまえたい」という希望は現実にあり、要望に応えることはありとは思います。

ただ、ここで問題に感じるのは「タクシーに変動運賃制、上下5割の範囲で」と言われて、具体的な金額のことが誰にも想像がつかない、非常にわかりにくい制度であるということです。

このようなわかりにくい制度は、利用するお客だけでなく、乗務員にとって甚だ迷惑千万で、私であればもっと簡便な方法で同じ目的でできるということをと、最初に思ったのですが、よくよく調べるとこの「高くても混んでいる時間帯に早くタクシーをつかまえたい」という目的にそもそも対応しておらず嘘であることに気付きました。

まず今はGOに変わった、JapanTaxiの2019年10月25日の記事で「事前確定運賃」の制度の説明があります。そして、今回の日経新聞の記事で事前に実証実験を行っていたことに気付き、別の記事で事前確定型変動運賃の実証実験(Taxi Japan 399号より)見つけその実態が浮き彫りになっていたのですが、要は混んでる時間帯は単に値上げをしているだけです(利用者には不誠実な運用の指摘もあります。)。

しかも、今回の元の記事の通り「安心して利用できるようにする必要があるとして、スマホなどで行き先を予約し、料金を事前確定させる場合のみを対象とした。」とすれば、例えば深夜の忙しい時間はアプリを利用した人のみ割増した運賃になり、当然乗務員は運賃が高いアプリの客を優先するだけです。

したがって、アプリを使えば、高い料金で今まで以上に早くタクシーがつかまえられる可能性が高いというあくまで相対的な話で、しかもその結果、駅などの乗り場で待っているお客は更に待たされるという、まさに国民を馬鹿にしたシステムとなります。

しかも配車されたタクシーにより、値段が最大5割も違うとなれば、お客が今まで以上にアプリでの配車をキャンセルすることが予想でき、ただでさえ忙しい時間は、効率よくタクシーを運用してお客を待たせる時間を減らすべきことを目指さなければならないのに、却って逆効果です。

本来国土交通省が考えるべきことは、まずタクシーの必要な方が必要な時に利用できる制度ですが、全くその視点が欠けているのは残念な限りです。

なお、私は諸外国のような白タクのライドシェアの導入までしなくても、タクシー業界が一定の利益を上げつつ上記の目標は達成可能と考えており、このブログで私案は公開していくつもりです。

ということで、今回は以上となりますが、主題の「今も大本営発表は鵜呑みにしてはいけない」に絡めて私が一番思うのは、マスコミが全くチェック機能がないのではという残念さです。私が指摘したことは、配車のキャンセルが増えること以外はタクシーの乗務員の仕事をしていなくても、なぜそのように言えるのかを、掘り下げて考え調べればわかる話です。

これは、実は司法試験の勉強でもそうですが、法律の上辺の知識では司法試験に合格できないもので、なぜそのように言えるのかを徹底して繰り返して考え、最後は自分の言葉で説明できるくらいに法律を理解することが必要です。

そうなると日本の知識を覚える教育の問題にまで遡ってしまいますが、大事な問題は、ぜひ思考を停止せずになぜそのように言えるのかを繰り返して考える癖付けをすることが、面倒くさい人間かもしれませんが、民主主義の社会を機能させていくためにはとても大事なことのように思います。 (実はこの私の思いは司法試験の部屋の4.部屋の開設にあたってお伝えしたいことの最後の段落とつながっています。)

次回は、話は戻って「高くても混んでいる時間帯に早くタクシーをつかまえたい」に対する私のもっと簡便な方法についての説明をしていきたいと思います。


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飯田さん

前職をやめて、結果としてタクシー乗務員として仕事を始め、1年程立って昼勤営業収入(税抜き)ミリオン、を達成したのを機に、このブログを始めました。
なお、「飯田さん」の名称の意味、詳しい情報、前職をやめた経緯などについては、「飯田さんの司法試験・予備試験の部屋」のサイトで掲載されています。

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