第94回 余りにも酷い大阪のライドシェア3月12日の発表について

業界・仕事説明

今回も予定を変更して3月12日に発表された吉村知事の発表した以下の記事について検証したいと思います。

万博時、タクシー2000台不足 国のライドシェア、大阪府が試算(共同通信) – Yahoo!ニュース

なおこの記事の中身を見ても、表題の通りくらいの内容でよくわからないので、最近のお約束通り元の資料を確認すると、大阪府のHPから以下の資料を見つけました。

大阪府/報道発表資料/国土交通省への提案について (osaka.lg.jp)

この「国土交通省への提案」から気が付くと思いますが、第92回で説明し私も投稿したパブリックコメントを、大阪府市の立場で同じように投稿して、それを記者会見で発表したといういう話です。

提案内容はリンクの通りとなりますが、共同通信の見出しではこのまま国の方針のもとに進むようにも受けとれますが、国土交通省原案とは内容がかなり異なり提案に過ぎない話です。

また「タクシーが2000台不足という大阪府の試算が合理的かといういところに記事を掘り下げて欲しいところなのですが、まず提案本文の最初のページは以下の通りです。

ここではわざわざ2011年からの提示して2023年3末までの「運転者証交付数」の数字を示して、長期にタクシードライバーが減少して、「現状維持も難しい」ことを訴えています。

そもそも「運転者交付数」のデータの元を探し、以下の大阪府Aの運転者証(法人)の数値であることがわかったのですが、

上記は、現在桜川のタクシーセンターに掲示している公益財団法人大阪タクシーセンターが発行しているセンターニュースの一部で、過去の掲載をHPで調べてみると「運転者証交付数」の数字とぴったりと合っていました。

とすると、2024年2月末の数値は16,998人となり、2023年3月末の16,028人だけでなく、2022年3月末の16,696人をも上回ることになりますが、その前の令和6年1月号の2023年11月末のデータでも16,843人で、資料の作成において敢えて直近のデータを入れず「減少傾向にあり、現状維持も難しい」と主張しているのは、議論の誘導のための恣意的なデータ操作と非難されても致し方ないと思います。

なお資料を作った役人は当然知っていたと思いますので、なぜか文言に不自然な「基本は」と「減少傾向にあり」の前に入っているのもその現われと思います。

ところで、第79回 第1回大阪府・大阪市ライドシェア有識者会議について説明していましたが、吉村知事が出席したこの会議で大阪タクシー協会の副会長が登録者数が増えている事実を発言していていました。

したがいまして、私が一番許せないのが吉村知事とマスコミなのですが、まず吉村知事は自分の名前でこの意見書を出しているのですが、吉村知事も恣意的なデータを操作していることを知っていたはずだからです。

そして現在吉村知事はマスコミに対して記者会見を開いているのですから、前提事実の誤認と恣意的なデータ操作を黙認していることをマスコミは指摘をすべきと思いますが、誰もしていないことです。

それ以外にいい加減なところが多々あるのですが、次ページは以下の通り需給予測をしています。

上の段の万博来退場で見ると、7,800人(タクシー利用者)÷2.745人(輸送人数)÷19.6(1日当たりタクシーの輸送回数)≒150台という計算式になるようです。

ここで端的に疑問に感じて欲しいのがタクシーの1日当たりの輸送回数ですが、1時間に1回以下という計算はあまりにも効率悪くないか?というところです。

近畿運輸局のデータとあり計算の仕方が不明なのですが、その後のドライバーの必要分については実働率から換算し更に約4,000人必要という計算からすると、ほぼ24時間稼働して?ということになります。

私のここ1年の月平均の時間当たりの輸送回数ですが、2.13~2.69の間で平均は2.34回です。これを単純に1日に直すと56.2回となり、余りにも元のデータと乖離しています。

ちなみに3月17日(日)の乗務で以下の通り16時台に6回のお客を乗せるという、

恐らく1時間当たりの限界値である乗務回数の記録が出ましたが、仮に全体で27%需要が伸びたとしても、全体の乗務の回転率を上げれば、需要の増加分のカバーは十分に可能と思います。

そして記事の見出しで明らかにおかしいのが、2022年実績でタクシーが1日当たり約8,400台で約2,300台足りないという論理ですが、大阪のタクシーの登録台数は令和3年の3月末のデータですが法人タクシーの車両だけで14,839台(個人は別に2,548台)あります。

その内の実働が1日約8,400台ということだと思いますが、登録台数から逆算すれば、1日2,300台追加で必要となっても現状から考えればまだ余裕があることが明らかです。

したがいまして、見出しの「タクシーが2000台」不足も明らかにミスリードで間違いなのですが、以下の次ページで、

タクシーだけでは需要に対応できない」という説明は、現在の登録台数からは可能な数字ですので、明らかに間違いとなり、記事をミスリードさせた原因のようです。

そしてこの後に具体的な提案になるのですが、前提がこれほどいい加減なので、論評する気も起らないのが正直なところで、今回のテーマは以上とさせていただきます。


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飯田さん

前職をやめて、結果としてタクシー乗務員として仕事を始め、1年程立って昼勤営業収入(税抜き)ミリオン、を達成したのを機に、このブログを始めました。
なお、「飯田さん」の名称の意味、詳しい情報、前職をやめた経緯などについては、「飯田さんの司法試験・予備試験の部屋」のサイトで掲載されています。

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