第95回 タクシー全体を効率的に運用するために

業界・仕事説明

人間が運転するタクシー全体を効率的に運用するための必要な要素から考えると、①需要と供給の情報の取得と、この情報を元にした②効率的な運用のための情報の提供の仕組みと、③乗務員の教育、④全体の需給の調整という4つ要素が必要と考え、また、その仕組みを具体化するためには、それぞれの役割を担う主体が必要と考えます。

この中で一番仕組みとして難しいと思われるのが①の需要と供給情報の取得ですが、実は公益財団法人大阪タクシーセンターによって昨年の12月から始まっています。具体的には、JR新大阪駅のタクシー乗り場から始まり、今年2月にはJR大阪駅桜橋口タクシー乗り場のライブ配信がされています。

(12) 公益財団法人大阪タクシーセンター – YouTube

この目的は、お客の待っている状況とタクシーの待機状況を乗務員がライブで確認できるようにして、タクシーの効率的な運用に資するものですが、私は乗務員に生データを提供するだけでは中途半端でありますが第一歩でもあると思います。

なお私が考える仕組みは、このような主要なタクシー乗り場ではこのようなライブカメラの設置するのに加え、イベント会場での退出情報や、鉄道の運行情報などのデータ収集し、更にタクシーの全車両にメーター(空車・実車・予約・回送)と連動した位置情報のリアルタイムでの提供の義務付けを想定しています。

そして将来的には通信網の整備に伴い、タクシーのドラレコの情報をライブ配信での提供を義務付けすれば、小規模のタクシー乗り場もすべてカバーすることができ、しかも道路でタクシー待ちの人もAIで判断ができ、より需要の精度も高くなります。

②については、ここまでの情報の提供を受ければ、民間の企業が全体を最適化するようなドライバーへの情報提供アプリの開発は可能と思いますので、乗務員は空車時はアプリの指示に従い走行すれば効率よくお客を拾えるようになると思います。

そしてここで想定しているのは大阪府であれば、公益財団法人大阪タクシーセンターが民間企業を公募で選び、その費用も民間企業に支払うという仕組みです。

そもそもですが公益財団法人大阪タクシーセンターの定款の目的は以下の通りで、

第 3 条 本センターは、タクシー業務適正化特別措置法(昭和45年法律第75号)(以下「タク特法」という。)に定める各業務の実施機関として、中立性及び公平性を基本的な姿勢に、タクシー事業の業務の適正化を図ることにより、輸送の安全及び利用者の利便の確保に資することを目的とする。

まさしく①②については目的に合致することです。

また、費用面で考えても、公益財団法人大阪タクシーセンターは第75回「地理試験について」新任運転者研修で稼いでいることを触れていましたが、別の資料を見ると以下の通りタクシー事業者からしっかりお金徴収しています。

法人タクシー1台当たり年額30,000円、個人タクシーは12,000円

大都市地域ではこのような特別な営業税ともいえるようなものを課しても、タクシー会社の採算が合うからだと思いますが、このように徴収したお金を天下りの費用に掛けるだけではなく、この地域のタクシー事業の効率化に使われるのであれば、値上げをされてもタクシー会社は文句を言わないと思います。

またアプリの開発コストで考えれば、他の大都市地域でも活用できますので、より費用は抑えられますし、民間企業に競争させて行けば、より良いものが出来て行くと思います。

そして③については主にタクシー会社が担うことになりますが、乗務の効率化は各タクシー会社として数字で明らかにすることができ、そのランク付けを定期的に公表することにより採算性だけではなく、企業のイメージUPに繋がるため各社は乗務員教育に力が入ると思います。

最後の④は国土交通省が担うところですが、データの蓄積に伴い天候の影響も含めた需給予測と最適な時間ごとのタクシーの必要台数が導き出すことは可能と思います。

そして最終的にはこれらの日ごと時間ごとの必要台数を個人タクシーも含めた全体で事前の調整が必要なのですが、一定のルールの下でシステム化して管理していくことも可能と思います。

ということで、タクシー業界が規制されているのを逆手に取った効率化したタクシーの運用を、大まかな話ではありますが現実的に目指せるという説明で、日本の目指すべき道と思っています。


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飯田さん

前職をやめて、結果としてタクシー乗務員として仕事を始め、1年程立って昼勤営業収入(税抜き)ミリオン、を達成したのを機に、このブログを始めました。
なお、「飯田さん」の名称の意味、詳しい情報、前職をやめた経緯などについては、「飯田さんの司法試験・予備試験の部屋」のサイトで掲載されています。

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