第75回 地理試験について

業界・仕事説明

ひと月ほど前、「タクシー地理試験、廃止も検討=運転手不足対応で―斉藤国交相」の記事が出ていましたが、理由については以下本文にある通り、

「地図アプリやカーナビの使用が増えている中、運転手の成り手不足を解消するため、業界団体から廃止を求める声が上がっていた。」 

運転手の成り手不足解消が目的とのことですが、私には?の感じがしました。

そもそもタクシーの地理試験は全国すべてで課されるものではなく、東京都と神奈川県、大阪府の一部地域で、大都市圏といわれる3地域限定の話ですが、今回は地理試験について書きたいと思います。

ちなみに、私の場合大阪府Aの地域でタクシーになったのですが、その地域でタクシー乗務員として働くためには、以下の通り新任運転者研修<4日間>を受けなければなりません。

公益財団法人大阪タクシーセンター – 事業者・運転者の皆様へ [研修所] (osaka-tc.or.jp)

その中に学科科目と地理科目を受ける者との記載がありますが、実際には研修が先にあって、最後に試験があり、学科とは法令等の科目のことで同じように最後に試験はあるのですが、今話題になっているにのは地理科目の試験のことになります。

実際のところ、このような研修があって最後に試験の場合、お手盛り感があって、ほとんどの人が受かるようなイメージがあると思いますが、私が受験した時には地理試験で意外と落ちている人が多い(半分以上?)ことに驚いた記憶がありました。

ではそれほど難しいのかというと、確かに普通に勉強したのでは絶対に受からないような内容ではありますが、地理試験対策はその直前の講義をしっかり聞くことが要と教えられて、私はその通りしただけで、もしその授業がなければ絶対に受かりませんが、乗務員になるためのネックになっているイメージは全くありませんでした

とはいえ、外国人の方などにとって地理試験はネックになる可能性は否定できないので、少しでも乗務員を確保しやすくしたいタクシー事業者側が要望するのは理解できます。

さて今回の記事でもう一つ注目したところは、声が上がってそれほど時間が経っていないこの時点で、「大臣が廃止を検討」ともうすでに国土交通省が前向きになっている点です。

通常はこのような規制はそう簡単にはやめますというわけはないのですが、地理試験がなくなっても学科試験は残るからというのが私の考える理由です。

すなわち、国土交通省にとって公益財団法人大阪タクシーセンターは大事な天下り先であることは当然のことで、その経費を徴収する手段の一つが新任運転者研修ですが、仮に地理試験がなくなっても法令等の試験は残り、その経費を徴収する大枠は残ります。

したがいまして、国土交通省としては腹のほとんど痛まないことで、対策をしてます感が出せるので悪い話ではないと思います。

ところで、肝心の地理科目の講義や試験を受ける意味ですが、実際のタクシー乗務に役立つかといえば、あくまで机上の空論で時間をかける割に全くと言っていいほど意味はないと思います。

私は研修でその後に特に役立った記憶は全くなく、地理に関しては側乗研修から始まって実際にお客を乗せて走りながら覚えていくもので、地理試験に合格したから地理に慣れた乗務員ではなく、実際に乗務して1ヵ月くらいしてようやく少し地理に慣れた乗務員といった感覚でした。

つまり、前職等の経験の個人差はスタート時点でありますが、タクシーの乗務時間が乗務員の地理に対するスキルの目安になると考えますので、タクシーの乗務時間の短い乗務員に当たれば、地理に不安な乗務員であることは何も変わりはありません。

したがいまして、地理試験がなくなるとタクシー乗務員の質が落ちるのでは?と不安に感じる方がいるとは思いますが、全く心配ご無用というのが私の意見となります。


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飯田さん

前職をやめて、結果としてタクシー乗務員として仕事を始め、1年程立って昼勤営業収入(税抜き)ミリオン、を達成したのを機に、このブログを始めました。
なお、「飯田さん」の名称の意味、詳しい情報、前職をやめた経緯などについては、「飯田さんの司法試験・予備試験の部屋」のサイトで掲載されています。

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