第44回 「乗車拒否」から考えると

業界・仕事説明

さて前回メッセンジャー黒田さんの乗車拒否の記事のお話を最後にしましたが、最近の話ですが乗車拒否をしたタクシーを私自身が見ています。

場所は、メッセンジャー黒田さんの乗車拒否のあった場所の程近くの、難波OCAT(長距離バスのターミナル)前の千日前通り沿いのところで、その場所はタクシーの乗車場ではありませんが、勝手にタクシーがよく客待ちで待機しているところです。

私がたまたま、お客さんを乗せてその場所へ送ったところでしたが、その前に1台のタクシーが待機しており、ちょうど外国人のカップルのスーツケースをトランクに詰め、動き出すのかと思ったら、またトランクを開けてスーツケースを降ろし、そのカップルが私に乗車を求めてきたので気が付きました。

行先も黒田さんと同じように「10分程の距離」でしたが、トランクに荷物を積んでお客を乗せた後、外国人の方とはいえ私の目の前で、白昼堂々と乗車拒否をするのは、乗車拒否に関しての問題意識が低く、業界としては相当根が深いなと思っていました。

そんなことがあった後の、黒田さんの乗車拒否の記事でしたので、今でも残念ながらそんなことは普通にあるよねと思いつつ、お客の乗車拒否の防衛手段を思い出しました。

この防衛手段は、前回の最後の「お客が最初に告げる」に関わるのですが、お客さんから理由を聞いたわけでもなく私の体験に基づくあくまでも想像にはなりますが、参考にはなると思いますのでこの機会にお伝えする次第です。

お客は乗車後まず目的地を言うのが当たり前を思うかもしれませんが、「このまま真っすぐ」とか「どこどこ通りを右に」とか目的地を言わない人がいます。これはアプリで呼ばれて、目的地を入力しない人も同じですが、こういうお客に出会うと経験的にまず「近距離」であるということが想像できるようになりました。

もちろん目的地を言っても乗務員にわからないからという場合もありますが、長距離の場合は誰でもわかるような大まかな目的地をまず言って、近くに来てから実際の目的地の案内をするもので、目的地を言わない理由には、乗車拒否の対策も含めている人が多いと思います。

ちなみに、お客の指示に従うのが乗務員の立場ですので、まずは言われた通りに動くものです。そしてメーターを実車にして車を動かすと、私の会社では取消しが認めれれないので乗務員の自腹になり、しかも待っていた場合はその場所から離れてしまうので、「乗車拒否」はしずらくなります。

なお、目的地を最後まで言わないお客は運転がしずらくイラっときてしまうのは事実ですが、本来心配すべきではない「乗車拒否」のための防衛手段と考えれば、却って独占業務として儲けさせていただいている自分の立場から考えると、申し訳ない話と考えられますので、私自身はそのように考えるようにしています。

また、黒田さんの記事で非常に驚いたのでは電話を受けたタクシー会社の対応ですが、お客へのクレーム対応が全くできていないことが丸わかりです。

会社として乗車拒否を対外的に認めると困るのはわかりますが、とは言っても、お客の言い分を真っ向から否定するのは火に油を注ぐもので絶対に対応としてはあり得ない話です。

まともな会社であれば、認められる事実は認めて、後は曖昧や先延ばしにして、ともかくお客の気持ちを静めるのが、クレーム対応の常識と思いますが、その欠片もないようですので、公の会社としての体をなしていないと思います。

そして、このような会社でも生き残れるのはまさしく独占業務だからと思いますが、明日(5月31日)からはまさしく困ったら値上げということで、大阪のタクシー料金の値上げが行われます。

なおこの案内の文面には「今後も公共交通機関としての責務を果たしてタクシーサービスの向上に鋭意努めて参ります。」とありますが、「乗車拒否の根絶」や「必要な時にタクシーが呼べる環境の提供」について、今までと同じやり方ではできないことは百も承知ですが、真剣に取り組む人が一人でも多く現れて欲しいというのが切なる願いです。

次回は値上げについて書きたいと思いますが、大阪で一番大きな変更は55割の廃止です。実際のところ、私は昼勤で長距離が少ないので影響は限られますが、この55割はすべての会社が廃止なわけではないので、この辺りお客の対応がどう変わるのかを含め気になるところで、次回のお話にしたいと思います。


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飯田さん

前職をやめて、結果としてタクシー乗務員として仕事を始め、1年程立って昼勤営業収入(税抜き)ミリオン、を達成したのを機に、このブログを始めました。
なお、「飯田さん」の名称の意味、詳しい情報、前職をやめた経緯などについては、「飯田さんの司法試験・予備試験の部屋」のサイトで掲載されています。

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