第67回 「安全確保のため」というライドシェアに反対する意見に対して思うこと

業界・仕事説明

ライドシェア導入に対する反対意見として、【速報】「ライドシェア」導入に「反対」が55% JNN世論調査の中で、「「運行管理車両整備の責任をどのように負うのか」といった、安全確保損害補償の観点から自民党内からは慎重論も出ています。」と反対の理由のキーワードが挙げられています。

また、神奈川県、「ライドシェア」検討案 タクシー会社が運行管理の記事の見出しも、見かけるようになりました。もちろん既存のタクシー会社を敵にまわすと新しいシステムの導入に障壁が大きくなるという理由もあると思いますが、前提としてタクシー会社が運行管理をして安全が確保できるということがあるのは明らかです。

この前提からすると、ライドシェアだと個人事業主となり、安全に不安があるということになりますが、それであれば、端的に「運行管理をされていない個人タクシーがそもそも認めらているのだからライドシェアが導入できない理由はない。」という主張を見かけないのが不思議なところです。

しかも、個人タクシーの割合は令和2年のデータですが、一番車両の多い東京の特別区・武三交通圏でなんと29.4%で、かなりの割合を占めています。(大阪地域は16.8%)

この点、個人タクシー事業者になるために一定の資格要件が必要な点で安全であるという見方もできますが、経験と日々の安全は必ずしも一致しないのは明らかなことです。(個人タクシーの実情については回を改めて説明したいと思います。)

その上最近国土交通省の個人タクシー80歳への延長の記事が出て、流石にそこまで危険を冒してまで規制を守りたいのかとホリエモンさんが話題にしていましたが、ここまでくると安全確保のためという反論は意味がないことも明白です。

なお、他の反対意見の車両の整備責任は現状は営業車は車検の期間の違いはありますが、個人でできないことでないのは明らかですし、損害の補償も保険の新たな設計で対応は可能なので、個人タクシーを例に出せば反対論は一蹴できるのではというのが私の意見です。

ここで話は戻りますが、タクシー会社がしっかり運行管理をして安全を確保しているという前提について、実はこの点に関しても大きな疑問を感じています。

理由としては、今でも隔勤(約20時間勤務)という乗務形態しか認めていないタクシー会社が多く存在することにあります。

第8回でも説明しましたが、隔勤の長時間労働が事故に結びつきやすいのはタクシー業界でも明白なことで隔勤を認めていないタクシー会社もありますが、車両の回転率を上げて会社の儲けを増やすために乗務員に過酷な負担を強制して、安全を疎かにしていることは明らかです。

しかも、タクシーの利用者は時間帯による波が大きく、需要のピークに合わせて一律に運行車両を増やすと、1日単位で見ると乗務員の営業効率が極端に落ち、第64回 タクシー会社の利益と乗務員の利益で説明している「乗務員の稼ぎの時間単価を上げる目標をタクシー会社がフォーカスすべきという私の考えにも反します。

したがいまして、私はタクシーの乗務員の働き方は個人差があり本人の希望に沿ってできるでけ認めるべきという意見なので、一律に隔勤を禁止ではなく、隔勤勤務しか認めていないタクシー会社に対して、行政がこの場合は改善命令を出すべきというのが、営業効率向上も含めた第一歩の考え方となります。

最後に、神奈川県の検討案について、私は机上の空論で全く評価はしていませんが、記事の中で「自民党の委員はタクシーの運行エリア制限が厳しすぎるなどと強調。「まずはタクシー会社への規制緩和を検討すべきではないか」」とありました。

この点は、まさしく第65回大阪府域内の営業圏の撤廃と同じ考え方の意見が出ていましたので、ぜひ政治的に国を動かして欲しいと期待しています。


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飯田さん

前職をやめて、結果としてタクシー乗務員として仕事を始め、1年程立って昼勤営業収入(税抜き)ミリオン、を達成したのを機に、このブログを始めました。
なお、「飯田さん」の名称の意味、詳しい情報、前職をやめた経緯などについては、「飯田さんの司法試験・予備試験の部屋」のサイトで掲載されています。

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