第68回 タクシー会社にとって、個人タクシーは都合の良い制度⁈

業界・仕事説明

タクシーの乗務員目線で見ると、タクシー会社で勤務するのと税抜き売り上げに対しての報酬である賃率は一般的に50%~65%くらいですが、個人事業主になれば、会社の間接コストの負担がなくなるので、収入割合が20%程は上がると思います。また、勤務形態も自由となり、まさしく以下の個人タクシーの説明サイトの最後にある説明の通り、

「多くの法人タクシー乗務員にとって、個人タクシーを開業する事は「夢」であり「目標」でもあるのです。我々の世界の中で個人タクシーとは、「タクシーの中のタクシー」「キング・オブ・タクシー」なのであります。」

そして、個人タクシーを開業するための詳しい条件については、同様にリンク先の説明サイトをご覧いただければと思いますが、大まかなポイントしては以下の通りです。

10年間職業法人ドライバーだった期間が必要であること。
無事故無違反が申請日から遡って40歳未満の時は10年間、40から65歳未満の時は3年間必要な条件となります。(年齢が申請時点で65歳以上だと認められません。)

ちなみに、主題の「タクシー会社にとって、個人タクシーは都合の良い制度⁈」と確信するに至ったきっかけは、個人タクシーの資格を取得する際には一定期間無事故無違反が必要なのに、開業してからは事故や違反をしても運転免許の取消処分さえなければ資格は取り消されないのは、制度として矛盾があることに気が付いたからです。

もちろん、個人タクシーとして開業後に、事故や交通違反をしたからと言って、即個人タクシーの資格が取り消しとなると、事業の安定性に問題がありできないと思います。しかしながら、本当に無事故無違反がタクシー乗務のために重要と考えるのであれば、一定期間の資格停止処分を設けるはずですが、そのようなこともありません。

とすれば、取得前のタクシー会社に在籍中の乗務員対して無事故無違反を目指させるメリットは、タクシー会社の乗務員に求める要求とまさに一致して、タクシー会社に一番利益のあることは明らかです。

また、サイトの記事でもありますが、個人タクシーは大都市では新規開業は認められていなく事業の譲渡を受けるのが実情のようで、個人タクシーの台数が無限に増えることはないのですが、それでも、一定の無事故無違反のハードルを設けないと、事実上の抜け道は色々あるようですが、希望者が多くなりすぎる歯止めとしての意味もあるとは思います。

そして、タクシー会社にとってできるだけ会社に都合の良い条件で、乗務員をいかに集めるかが経営の目標となっている現状では、個人タクシーの資格はまさしく乗務員に対する「ニンジンに当たり、「個人タクシーの資格を取得できれば収入面や働き方でも桁違いに良くなるので、まずはタクシー会社で働いて頑張ってみない。」と最大の口説き文句や在籍中のモチベーションの維持のために使えると思います。

ちなみに、私の場合は56歳から始めたので残念ながら個人タクシーは申請年齢制限にかかり目指せないのですが、今の会社の面接で個人タクシーを目指すのを会社としては全面的に支援している説明を、直接は関係ないのは分かった上でも説明をいただので、定番の話という理解でいました。

ところで、今年の10月からインボイス制度が始まり、個人タクシーもほとんどが課税業者になり、乗務員目線でみると、法人タクシーで勤務するか個人タクシーとして勤務するかだけの違いで、同じ仕事で10%稼ぎが異なるというのは非常に大きな差で、この点も個人タクシーの最大の魅力ではありましたが、今は状況が少し変わりました。

また、以前紹介した私の会社のグループの会長のブログに「個人タクシーは制度を見直せ。」という記事があり、もう少し生々しい内容の話はありますが、個人タクシー乗務員の質の問題について資格審査を厳しくすることと前回のブログでも見過ごされている点として指摘していましたが運行管理を外部ですることを提案されています。

私自身は、質の問題は試験という入り口の問題ではなく、結局のところ人間は自分自身に一番甘いもので、それを正すのは他人の目が一番なので、制度的に他人の目を通した苦情が管理者に届きやすい仕組みを作ることが大事で、運行管理についても基本は同じ考え方で対応できると考えます。

詳細については回を改めますが、そもそも都会のタクシー業界はどうあるべきかから考えるべきことと思っています。


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飯田さん

前職をやめて、結果としてタクシー乗務員として仕事を始め、1年程立って昼勤営業収入(税抜き)ミリオン、を達成したのを機に、このブログを始めました。
なお、「飯田さん」の名称の意味、詳しい情報、前職をやめた経緯などについては、「飯田さんの司法試験・予備試験の部屋」のサイトで掲載されています。

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