第64回 タクシー会社の利益と乗務員の利益

業界・仕事説明

前前職の時代は、会社の経費でよくタクシーを利用していました。

ちょうどバブル崩壊した後の頃(1990年代後半)、タクシー会社は不景気になると乗務員を集めやすくなり会社としては車の稼働率が上がり却って儲かるという週刊誌の記事を見て、乗務員の方に伺ったところ「よく知ってますね。」と会話した記憶が残っています。

さて今回この話を持ち出したのは、<追跡>深刻なタクシー不足 業界団体反対もライドシェアの解禁は進むか【WBS】(テレ東BIZ) – Yahoo!ニュースに川鍋会長の発言が以下の通りありますが、

「川鍋会長を直撃すると「必ずしも今、タクシー業界が何もしていなくて、ライドシェアを解禁すれば全部解決するというのは、ちょっと短絡的」と否定的なコメント。川鍋会長はタクシーが運転できる資格取得の条件を簡素化してタクシードライバー自体を増やすべきだと主張します。

「よく一般の方に、タクシー業界は規制で守られている、既得権益だと言われるが、今の時代に合わせた形で規制を少しアップデートしていく。規制緩和していくというのが、まずタクシー業界がやるべきこと」」

なお川鍋会長とは全国ハイヤー・タクシー連合会の会長であって、日本交通株式会社の3代目の会長で、まさしくタクシー会社の立場の代弁者と思います。

そして、その流れなのか、普通免許でタクシー乗務できる特区設置要請で調整 福岡市という記事が9月6日付で出ていましたが、目的は冒頭の通り「全国的に深刻化するタクシードライバー不足の改善に向けた新たな動きです。」となります。

また直近ではタクシーなど外国人運転手を拡大 国交省「特定技能」に追加検討という記事があり、まさしく同じ流れの話と思います。

ここでタクシーの資格取得の条件の簡素化については、私自身の考え方としては実は賛成なのですが、単にタクシー会社が乗務員の獲得手段をしやすくするためだけの簡素化であれば、タクシー会社の救済で乗務員の待遇悪化につながるだけすので大反対です。

すなわち、第8回の「なぜ自分で乗務時間を決めても会社は困らないのか」でも触れていましたが、乗務員の確保という問題がタクシー会社でなくなると、単に自社の車の稼働率を上げることだけに注力され、勤務形態では会社の都合を押し付けられやすくなり、また乗務員への報酬の割合の賃率でも、タクシー会社の利益が優先されることが明らかであるからです。

では、タクシー会社の利益と乗務員の利益は常に反していかなければならないかと言えば、私がいつも気にしている「乗務員の稼ぎの時間単価を上げる」ということに、目的をフォーカスして行くと、実はタクシー会社も乗務員もお互いにウィンウィンの関係になることができると考えます。

そして、時間単価を上げる目的を達成するためには、第5回のお客に乗っていただく時間の最大化を目指すこと」という私の定義を思い出していただきたいのですが、タクシーの乗務員全体で実践して底上げしていくことで、公共交通機関の使命である(必要な時にタクシーを提供できるようにする)ということに繋がりますので、単純に乗務員の数を増やすこととは大きく異なるところです。

ここで、川鍋会長の発言に戻りますが、「規制を少しアップデートしていく。規制緩和していくというのが、まずタクシー業界がやるべきこと」については、少しではなく大幅にアップデートしていくことが必要で、タクシー業界がまずやるべきことというのは、同意見です。

また、都市部においては「ライドシェアを解禁すれば全部解決するというのは、ちょっと短絡的」というのも同意見で、第34回の「「今も大本営発表は鵜呑みにしてはいけない」のですが」でも触れましたが、白タクのライドシェアの導入をしない方法でよりスマートなタクシーの必要な方が必要な時に利用できる制度」はできると思いますので、順に説明していきたいと思います。


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飯田さん

前職をやめて、結果としてタクシー乗務員として仕事を始め、1年程立って昼勤営業収入(税抜き)ミリオン、を達成したのを機に、このブログを始めました。
なお、「飯田さん」の名称の意味、詳しい情報、前職をやめた経緯などについては、「飯田さんの司法試験・予備試験の部屋」のサイトで掲載されています。

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