さて、最近国土交通省の「SNS時代のタクシー・バス乗務員のプライバシー確保…氏名や顔写真の表示義務を見直しへ」という表題の記事が出ていますが、実はその必要性を具体的に体感したことがありました。
その若い女性のお客さんは、後述しますが、気に入らないことがあり、中々支払いや降車せず最後には、「ネットでつるし上げるようなこと」を言って、私の乗務員証(顔写真付)の写真を撮っていきました。
ここで乗務員証を撮られる行為ですが、私は自分がやましいことをしたわけではありませんでしたし、よくよく考えれば既に私はネットの世界に顔出し実名でデビュー済みですので免疫があり、ネットで有名になれば却って私のブログも拡がるので結構な話と捨て置けました。
しかしながら、このようなリスクを考えると、一般の乗務員の立場では乗務員証表示の見直しもやむ負えないかなと体感した次第です。
なお現状で乗務員側から取れる対抗手段としては、乗務員証を撮られることを物理的に防ぐ手段があると思います。実際のところ、乗務員証は掲示義務だけですので、写真を撮られることを拒否しても違反ではないと思います。
また、もし撮られたら、相手に対して「車内カメラを搭載していますので、お客さんの顔も撮られてますよ。場合によってはこのやり取りの動画を公開したほうが良いですかね?」(×「動画を公開しますよ」後述)と冷静に伝えても抑止効果があるとは思います。
ところで、実はお客さんは「ネットでつるし上げるようなこと」を言った時点で、「名誉に害を加える旨の告知をして」いるので、立派に刑法第222条の脅迫罪が成立しています。したがいまして、すべて録画しているので証拠もしっかりあることともに、「脅迫罪で訴える」ことができることを、冷静に相手にお伝えするのも一つの対抗手段です。
ここで冷静にと言ったのは、言い方や状況によっては、自分の方が脅迫罪に該当する場合があるからで、この点については、リンク先の記事が脅迫罪について詳しく説明していますのでお勧めです。
注意点としては、「脅迫罪で訴える」は正当な権利の行使なので言い方だけ穏やかにすればよいのですが、単に「動画を公開しますよ」ではそもそも脅迫罪の「名誉に害を加える旨の告知をして」に当たってしまいますのでNGです。
なお、今回のケースに限らず、お客から何か車内で暴言を吐かれた時に、刑法第222条の「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知」に当たれば、脅迫罪で訴えることができますので、この知識をお客への抑止的手段として活用することも可能です。
さて、話は戻り何故「お客さんが気に入らないこと」があったのかというと、遠回りをしたということなのですが、以下事情を説明します。
GOで迎車地に呼ばれたのですが、場所は車のすれ違いは可能ですが道幅は広いわけではなく、周りが一方通行に囲まれたところとでした。宛先の指定もなく、なんとなく前に進むしかないなと思っていたところ、お客さんが乗車され少し動き出したところ、目的地と「忘れ物したかも。」と言われ少しの間止まりました。
そこで、ふと目的地が逆方向で、この道は一方通行ではないかもと気づき、マンションの駐車場の入り口を利用してUターンした方が良いとは思ったのですが、後続に2台車が来ていました。そして人影も見え、道路で後退するのは色々な危険が伴うので、一瞬迷いましたがそのまま直進して、左周りでマンションの反対側の道路を抜けようとしたところ、急に「なんで遠回りするの!」「いつもはUターンしている。」と怒りだしました。
実際のところ遠回りといっても、後で地図で計りましたが250メートルほどで、1メータ料金の80円上がる程度の話で、しかも私が事情を説明しても納得されなかった次第です。
ということで、とんでもないお客さんに当たってしまったと言いたいところでしたが、前回のブログの通りで、待機時にUターンすることもしっかり想定していれば、このようなことは起きませんでしたので、改めて反省した次第です。
なお今回のケースでお客の立場で言えば、乗車した時にUターンして欲しいことを最初に告げればよかっただけの話ですが、次回は「メッセンジャー・黒田 タクシーで乗車拒否に」という記事が配信されていましたので、その記事に対する私の見解とともに、お客が最初に告げるあるあるの話もお伝えしたいと思います。
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