この主題を見て、確かにこの点はとても大事だよねと感ずる方が大多数と思いますが、実は第5回で指摘した外した目標が「いかに長距離のお客を乗せるか」ということになります。
確かに、長距離は乗車時間が効率的に稼げて、私の目標の「お客に乗っていただく時間の最大化を目指すこと」に役立つことは間違いありません。
しかし大きな違いは、私の目標は「時間の最大化」なので「どうして待っていられるの?」となりますが、「いかに長距離のお客を乗せるか」という目標になるとそのためには待っていられるということを、改めて気づいた次第です。
実際のところ、多くの乗務員の方は目標とは言わないまでも、意識の中で長距離を乗せなければならないという心理が常に強いように思います。
例えば、駅待ちのタクシーで近い距離に乗って不機嫌な対応をされた経験は皆さんお持ちであると思います。私自身では、流しで拾ったお客様やアプリで呼んでいただいたお客様からも、開口一番に「近くですいません。」と予防線を結構張られる方がいらっしゃることでも感じられることでした。
また実際に見て感じるひどいと思う一例ですが、私の乗務している夜の20時頃は忙しさのピークは過ぎた時間で、繁華街の周りに列を作って待機しているタクシーが多く現れます。
もちろん私にとって見ればライバルが止まっていてくれてありがとうとも言えるのですが、配車アプリも結構呼ばれ、道路上でタクシーを待っている人を多く見かける時には、あの待機しているタクシーは逆にお客を待たせていったい何してるの?と思います。
また、なぜこのような意識の乗務員が多いのかと考えるとき、歴史から考えると納得でした。
実際のところ、私のアプリ配車のほとんどはDiDiとGOですが、DiDiは2018年、GOは2020年のサービス開始でした。
つまりそれ以前は、アプリ配車がなければ受注の手段が限られるため、私の並ばなくても十分受注ができるという前提が崩れます。
そうなると並んで待つ必要も出てくるわけですが、そのような中で稼ぐためにはと考えると「いかに長距離のお客を乗せるか」という思考過程になるのは当然だと思います。
そして、これは司法試験の世界も同じですが、成功体験や考え方は、環境が変わってもなかなか変われるものではありません。
私は環境が変わり、実際にユーザーに浸透した後から、たまたまタクシーの仕事を始めましたので、「長距離の呪縛」に惑わされることなく、当たり前のように「時間の最大化」という目標設定ができましたが、こうして冷静に考えていくとまだまだ少数派ということに気付きます。
また、タクシーの仕事を始めた当初から一定の金額を稼げたのは、多数とは異なり、この環境の変化に自然に対応していたからと言えると思います。
次回は、もう少し私の実際のお話をしながら、具体的な営業についての説明に入っていきたいと思います。
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