今回は「流し営業について」書きたいと思いますが、まず第50回以降、営収の成績に乗車件数とそのうちの手上げ件数の記載をすることを始めていることにお気づきの方もいらっしゃると思います。
もっとも、私の手上げ(流し)の件数については、第13回でも説明していますがお客降ろした直後にお客を乗せる場合や、お客が待っているということで付待ち場所で拾う場合も含まれています。
したがいまして、アプリの鳴りが悪くなるとそれを補うべく、以前に私の営業のスタイルでは通常1~2割としていましたが、手上げで獲得する割合が傾向として増えることをお伝えしたかったところです。
そして、実際の流しの営業方法についてですが、「空車タクシーの後ろを走らない」ということが大原則となり、前にタクシーが走っている場合はその見極めが大事になります。
夜は場合は実車中に行燈の点灯が消えるのでわかりやすいのですが、昼間の場合は後部座席のお客の有無で判断します。また車線の走り方や速度で、お客を狙っているかどうかも判断もしていきます。
そして前に空車タクシーがいる場合は、①前に抜く、②別の道に行く、③間を空けるという3つの手段が考えれますが、私の手段選択もこの順序となります。
そもそも流しの営業でお客を狙える場所は、2車線以上の道路であることがほとんどですので、追い越して空車タクシーの前に入ることは可能です。
ただ、安全運転を徹底し、マナーから考えると追い越して前に入るのはどうかと感じるのが一般人の感覚と思いますが、私も当初はそうでした。したがいまして、私が乗務を始めたころはキープレフトでいつでも止まりやすいようにやや遅めに走っていましたので、次々先輩方に追い越されてお客をさらわれ、当初は「安全運転を最優先しろよ。」と怒りの気持ちもありました。
しかしながら、そのうち怒りの気持ちを持っても自分には損なだけですので、「先輩流石!」と称賛に変えて行くうちに、主題の通り「仁義なき戦い」だから、お互い恨みっこなしのルールとして割切っていこうという気持ちに切り替えられました。
ということで、流しの営業中は自分が抜かれる立場の防衛策も必要なのですが、前だけでなく後ろや横に空車タクシーがいないかも注視が必要となります。そして空車タクシーが傍にいる時は、抜かれないように、車線取りから、前の車との車間距離、信号の切り替わりでのスタートダッシュなど、前に入られないように警戒しながら運転することが大事です。
そして、前に入るということでもう一つ心がけているのは、お客を降ろした時に特に後続にタクシーがいそうな場合は、メーターは空車までは必ずしますが、それ以外の処理は場合によっては後回しにして移動を優先します。
なお、今年の6月の話ですが、交差点前の黄色の車線変更禁止区域で右斜め先にタクシーがいて、交差点の先にタクシーを待っている人影が見えたのですが、その時に黄線をまたいで進路変更をしてお客を奪っていったタクシーがありました。私自身が前の車とは車間距離を空けていたからですが、まさか交通違反まではしないだろうと思って油断をしていたので、少し頭にきてしまいました。
ところが、その直後にアプリが鳴り迎車地も直ぐ近くで、しかも行き先が関西空港という大当たりがあり、その怒りも吹っ飛んで感謝の気持ちになってしまいました。
ということで、このような気疲れしそうな空車タクシー対策を私自身が集中して完璧にしているかといえばそうではないですし、ここまでやってもアプリの受注が大半の時代では少しの差しかないのかなというのが私の実感です。
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